今押さえておきたいがん治療

「免疫療法」は本当に勝てるのか

 がんの取材をしていると、従来の免疫療法を疑問視する声をよく聞く。はたしてどうなのか。

 免疫療法は、異物を攻撃する免疫細胞(樹状細胞、マクロファージ、リンパ球など)の働きを利用した治療法だ。種類はさまざまあるが、これまでの基本的な考えは「免疫機能を上げて、がん細胞をやっつける」というもの。

 例を出して紹介しよう。たとえば今注目されている「ペプチドワクチン療法」は、まず、ペプチドという“がんの目印”をワクチンとして体内に投与する。それによって、がん細胞を非常に目立つ状態にすると、免疫細胞の一種、キラーT細胞が、がんの目印を持つがん細胞を狙って強力に攻撃する。攻撃力が増し、がん細胞の“死滅率”が高まる……という考えだ。

 同じく注目されている「樹状細胞ワクチン療法」は、樹状細胞の“がん細胞察知力”を高めるもの。樹状細胞はリンパ球に「あれが、がん細胞だ」と教えて、攻撃させる司令官のような働きをしている。

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