今押さえておきたいがん治療

「免疫療法」は本当に勝てるのか

 免疫機能にブレーキをかけることを「免疫チェックポイント」という。

 2000年、京都大学の研究者によって、がん細胞が持つ、免疫細胞を働かせなくする「ブレーキ」のひとつが明らかになった。「PD―L1」というタンパクだ。

「それによって、免疫療法は、ブレーキを“外す”ことを目標として研究が行われるようになりました。今、免疫細胞にかけられたブレーキを外す薬剤、免疫チェックポイント阻害薬が国内外で何種類か承認されています」

 日本では、「ニボルマブ」という薬がメラノーマに対して承認されている。有効な患者では、1~2カ月ほどでがんが小さくなるという報告がある。

 従来の免疫療法は、数百万~数千万円かかることは珍しくなく、それを受けている間にがんがより大きくなっているケースもある。“ほかの治療法がないのなら”とすがる気持ちもわかるが、その前に、免疫療法の現状についてきちんと知るべきだ。

3 / 3 ページ