介護の現場

夫の母親、妻の両親と介護同居

 幸い、長男が結婚して別所帯を構えたため、空いた部屋に妻の両親を入居させた。

 だが、それからが“戦争”だった。3人の老人が代わる代わる自宅廊下の段差につまずいて転び、風呂場では足を滑らせて骨折。しょっちゅう「腹が痛い」「腰が痛い」と泣き叫ぶ。そうした事故や病気が起こるたびに楠木さんは自宅と病院を往復した。

 3人とも要介護3の認定を受けたとき、特養老人ホームの入居を考えた。だが、近くの特養ホームは100人待ち。有料老人ホームは、入居費が高くてとても手が出ない。

「20万円だったでしょうか。市に申請して、自宅介護の補助を受けることになり、廊下の段差を平らにし、風呂や廊下に手すりを付けるなどバリアフリーに改造しました」

 ほかに、介護用ベッド(月1000円)、ボタン操作で上下動が自由にできる座椅子(同1000円)、車椅子(同350円)など、介護負担で借り入れた。

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