介護の現場

特別養護老人ホームに優先入居する方法

 自宅介護の必要性に迫られたとき、伴侶か子どもは、会社勤めを放棄しなければならないケースが少なくない。だが、その逆もある。

 東京・板橋区内に住む派遣業、笹本喜一さん(仮名、63歳)は、2年前に30年間勤務したトラック配送会社を定年退職。現在は派遣会社に登録し、週に3日ほど中距離トラックの運転手をしている。

「会社を辞めてからつくづく思ったのですが、介護というのは大変な作業でした。妻が毎日のように愚痴をこぼしていたことが理解できましたね」

 笹本さんには、同居している80歳を過ぎた母親、富さん(仮名)がいる。

 富さんは40歳の頃から糖尿病に苦しみ、80歳近くになって、合併症のため両目の視力がほとんどなくなっていた。

 それでも、トイレには壁伝いに一人で行っていたが、時々、用便の落としどころを間違えてしまう。

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