介護の現場

遠くの子供より近くの他人

 認知症、知的障害、精神障害等で判断能力が不十分と判断された本人に代わり、不動産や預貯金などの財産管理の責任と義務を負う代理人を設定できる。

 手続きは、本人が住む所轄の家庭裁判所に、「申立書、財産目録、医師の診断書」を提出(申立人資格者は、弁護士や司法書士、配偶者、4親等以内の親族)する。

 以来、古橋さんの資産は、家庭裁判所から指定された人権派の弁護士と、その弁護士を補助する形で、畠山さんが「成年後見人」として管理することになった。

「週に1回、古橋さんを訪ねて、買い物のお使いや身の回りのお世話をします。また、空き家になっている自宅を訪ねて空気の入れ替え。それに、子どもさんが小遣いをせびりに訪ねてきても、『もう母親に権限はありません。弁護士を通してください』と伝えています。月に1回、弁護士(家庭裁判所)に収支明細書の提出も行っています」(畠山さん)

 成年後見人の月額支払いは、被成年後見の資産状況にもよるが、平均(現在、成年後見人は全国に10万人前後)して8万~15万円程度だという。

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