がんと共生する時代がそこに 転移は「心臓ホルモン」で防げる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「当初はANPは抗がん剤と同じようにがんを直接攻撃していると考えていましたが、誤りでした。がんが転移するには、(1)がん細胞が全身に散らばっている(2)血管に炎症が起きている、などの条件が必要です。普通、がん細胞はがんの塊から離れて血管に侵入しても、白血球やマクロファージと呼ばれる貪食細胞により、1~2日で死滅します。ただし、血管に炎症があると、血管の内側にE-セレクチンという接着物質が生まれる。血液中を移動するがん細胞はこれにくっつき、そこで増殖・転移を起こすのです」

 ANPはこの接着物質を減らすことで、がん細胞が血管にくっつくのを防いでいるのだという。

「がんが転移せず、いつまでも発生したところにとどまっていれば怖くありません。腫瘍が大きくなって他の臓器の働きを低下させない限りは、がんとの共存も可能です」

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