女性用バイアグラが8月に米食品医薬品局から承認されたニュースはすでにお届けした通り。
日本では興味津々の声が多いようですが、米国ではどちらかというと否定的な意見が目立っています。
毎日飲み続けなくてはならないため、「めまいや吐き気など強い副作用が指摘されている薬なんて飲み続けられない」「その割には効果が弱い(満足する回数が0.5~1回増える程度)」というわけです。
さらに取材をすると、女性たちから「そもそも必要ない。むしろ、害になるのでは」という意見が聞こえてきます。
女性の性欲減退は複雑に要因が絡み合っていて、個人差も大きい。「小さな子供が4人いる。仕事と家庭の両立で疲れ切っていて、セックスどころではない」「相手との関係がうまくいっていない」といった具合です。精神科医やセラピスト、そして一般女性までもが「男たちは薬の存在を女性の環境やお互いの関係の改善に努力しないことへの言い訳にするのでは」と危惧しています。「女性のすべてが旺盛な性欲を持つべきと決められてはたまらない!」と言う女性もいます。
では男性は? となると、「好きな女性にそこまでしてほしいか疑問」「製薬会社の金儲けに利用されたくない」など、やっぱり“NO寄り”の意見。
「自分もこれを使って……」と妄想でほくそ笑んでいた日本男性のみなさん。セックスに対する気持ちがパートナーときちんと寄り添っているか、まずはそこまで戻って考えた方がいいかもしれません。
▽シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター。横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。
ニューヨークからお届けします。