いよいよ大学受験シーズンがやってきました。相変わらずの人気は看護学科です。少子化で定員割れの大学が増える中、来年度も8大学が、看護学科をスタートさせる予定で、早くも受験生獲得競争がヒートアップしています。
しかし卒業後、どのようなキャリアパスが用意されているのかご存じでしょうか。ざっと説明しましょう。
看護学科を卒業(見込みを含む)すれば、看護師国家試験の受験資格が得られます。そして国家試験に合格すれば、晴れて看護師になれるのです。
しかし、国家試験は4年生の2月で結果発表は3月下旬。そのためほとんどの学生は、4年生の夏ないし秋ごろから就職活動に入り、大半が年内に内定をもらっています。とはいえ国家試験が不合格なら、内定も取り消されてしまいます。
一般病院には、大きく3つの職場が用意されています。外来、病棟、そして手術部です。
外来看護師(外来ナース)は、外来で医師をサポートする役目。救急を除けば、ほぼ定時に出勤して、定時に帰宅できます。
病棟看護師(病棟ナース)は、入院患者の看護に当たります。世間的なナースのイメージにもっとも近いのがこれ。夜勤・休出は当たり前。患者との接し方も含め、看護のスキルを磨くのに向いています。
手術部看護師(オペナース)は、手術室専属。手術の準備や、手術中の機器の受け渡しなどを行います。ドラマで執刀医が「メス!」と言うとピタッと渡す、あの役割です。
病棟看護師は、数年単位で科目をローテーションするのが一般的。内科病棟から外科病棟へ、といった具合です。しかし、最近では看護師にも専門性が求められるようになってきています。そのため1997年から、日本看護協会が「認定看護師・専門看護師制度」を設けて普及に努めています。集中ケアや緩和ケアなど21分野の認定看護師と、老人看護や小児看護など11分野の専門看護師資格が用意されています。
看護学科を卒業(見込みを含む)すると、「保健師」の国家試験を受けることもできます。看護師と試験日が異なるため、その気になれば卒業までに両方の資格を取得することも可能です。
地域の妊婦・乳幼児健診や高齢者の健康指導、民間企業のメタボ健診の指導を行うなど、仕事の幅が広がります。
養護教育に必要な単位を取得しておくと、小中学校の養護教員、つまり保健室の先生になることもできます。また、大学で助産師に必要な単位を取得しておくか、卒業後1年間、厚労省が指定する助産師養成学校で単位取得すれば、助産師国家試験を受けることも可能です。
看護系の人材は、高齢化などで社会ニーズも増す一方。専門職種としてのキャリアパスも充実していますから、まだまだ受験生の人気は続きそうです。
(医療ジャーナリスト・やなぎひさし)
医療用語基礎知識