医療数字のカラクリ

「余命6カ月」の本当の意味

「余命は6カ月以内です」という説明は、宣告された患者の90%に当てはまることになります。単に個別の患者の予測の正しさということでいえば、「余命宣告」は平均値や中央値を使うより、90パーセンタイルを使った方が正しい説明ということになります。

 実際の医療現場では、余命6カ月という時、中央値である場合が多く、50%の人が亡くなる時点を示しています。逆に言えば半分の人は6カ月以上生きるわけで、この数字を聞いた時に、「半分の人は6カ月以上生きるんだ」というような前向きな解釈も可能なのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。