そろそろ受験生やその家族を中心にインフルエンザワクチンに関する問い合わせが増えてきました。そのなかで多いのは「いつワクチンを打つのがいいのか」というタイミングに関する質問です。
ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した(13歳未満の場合は2回接種した)2週後から5カ月程度までと報告されています。インフルエンザ自体は例年12月から3月ごろに流行し、例年1月から2月に流行のピークを迎えます。ワクチン接種による効果が出現するまでには2週間程度かかりますから、年内のワクチン接種が正解ということになります。
そのインフルエンザ、医療関係者の間では今年は昨年よりも“効くのではないか”と期待されています。理由は、今年からA型2種類、B型2種類の混合ワクチンである「4価ワクチン」が導入されるからです。
「価」というのはそのワクチンを使うことで何種類のウイルスや細菌に対して免疫を獲得することができるかを示す言葉です。これまで日本ではA型2種類、B型1種類混合の「3価ワクチン」しか認められていませんでした。今後は免疫を獲得する種類のウイルスや細菌が1種類増えるのですから、期待が高まるのは当然です。
今回新たに加わるB型には「山形系統」と「ビクトリア系統」の2つのタイプがあります。これまでは両方が同時に流行することがなかったため、シーズン前の予測から一方だけのワクチンを入れてきました。
しかし、事前に予測した通りのタイプが流行すればいいのですが、予測が外れれば「ワクチンが効かない」ということになります。そこで登場したのが「4価ワクチン」なのです。
WHO(世界保健機関)も4価のインフルエンザワクチンを推奨しており、昨年米国で4価ワクチンが導入され有効性が改めて確認されました。そのうえで、今シーズンから日本で4価のインフルエンザワクチンを使用することになったのです。
ただし、3価から4価に変わることで、ワクチンの納入価格が上昇しており、昨年よりインフルエンザワクチンの接種価格が高くなる医療機関も増えるかもしれません。
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