医療用語基礎知識

【診療報酬改定】製薬会社と中医協・厚労省が小競り合い

 そのため遅くとも来年の2月までに、すべての項目の見直しを終わらせなければなりません。病院のシステムの作り直しなどで、最低1カ月は必要だからです。

 しかし実際には、見直し作業はこの時期から年末にかけてが正念場。それを話し合うのが、厚生労働省の中央社会保険医療協議会、略して中医協です。医療界、産業界、一般市民の代表によって組織されています。当然、医療界は報酬アップを要求しますし、医療費の負担を強いられている産業界は、もっと下げろと要求します。一般市民の代表は、やはり消費者の視点から判断する傾向が強いため、医療費が安くなることを望みます。もっとも、必要な医療まで切り捨てられては困るので、産業界とは一線を画しています。

 しかし実態はもっと複雑です。毎回、財務省から激しい横やりが入ります。日本の総医療費は約40兆円ですが、高齢者が増えたため、健康保険料だけでは到底賄いきれず、今やその半分近くを税金で補っているからです。

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。