日本人の死因のトップはがん。では老衰は?
「老衰」という言葉を聞くと、少しホッとする人も多いかと思います。これといった病気を患うこともなく、苦しまず、いわば天寿を全うして旅立っていくのですから。しかし、老衰とは本当にそういう穏やかな最期なのでしょうか。
死因には「直接死因」と「原死因」の区別があります。肺がんで呼吸困難に陥り亡くなった場合、直接的な死因は呼吸不全などですが、原死因は肺がんとなります。死亡統計は原死因をもとに集計される規則になっているため、この場合、統計上は肺がん死としてカウントされます。
厚生労働省が発行している「死亡診断書記載マニュアル」のなかには、老衰について次のように書かれています。
「死因としての老衰は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用います」
医療用語基礎知識