医療用語基礎知識

【がん患者数】地域によっては減少傾向へ

 保険会社のCMは、相変わらず「がんは日本人の死因の第1位」「2人に1人が一生に1回は必ずがんになる」と騒ぎ立てています。そのこと自体は正しいのですが、CMでは「がんが増えている」とは言っていないようです。本当はどうなっているのでしょうか。今回はそんな素朴な疑問に答えましょう。

 もちろん、がんにかかる人は増えています。医療の世界では、罹患者という言葉をよく使います。これは「新たにがんと診断された人」という意味です。新規がん患者などと呼ばれることもあります。

 罹患者数は年々増加しています。国立がん研究センターの統計によれば、2010年の1年間の罹患者数は、約80万5000人でした。1985年と比較して、約2・5倍に達したといいます。

 だからといって、今後とも増え続けるとは限りません。国立がん研究センターや政府が発表する公式統計では、現在も罹患者数が増え続けているのですが、都道府県別に見ると、必ずしも増えているわけではないのです。

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。