医療用語基礎知識

【がん患者数】地域によっては減少傾向へ

 たとえば大阪府。府立成人病センターによれば、2006年ごろから罹患者数が頭打ちとなっています。全部位の合計で、06年が4万4302人、07年が4万7764人、08年が4万6425人、09年が4万4645人といった具合です。

 これは上皮内がんと呼ばれる、ごく初期のがんも含めた数字です。上皮内がんは転移することが少なく、本当にがんかどうか疑わしいため、「がんもどき」と呼んでいる医者もいるほどです。また内視鏡で簡単に取れるので、民間のがん保険でも別扱いにしているところが少なくありません。

 上皮内がんを除けば、大阪府の罹患者数は、00年以降3万4000~3万5000人ほどで横ばい、ないしやや減少傾向にあります。

 この間、がん検診が普及し、がんの診断技術も向上してきました。いままで見落とされていたがんが、より早く、より正確に発見できるようになってきたのです。また一般論として、がんのリスクは年齢とともに高まっていきます。日本全体で高齢化が着実に進んでいます。大阪府も例外ではありません。

2 / 3 ページ

やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。