「肝心」という言葉があります。文字通り肝臓と心臓、人体になくてはならないもの、転じて非常に大切なことという意味です。
しかし、実は「肝腎」と書くのが正しいという説が有力です。もともとは漢方医学から出た言葉だそうです。漢方では肝臓と腎臓こそが命をつかさどる臓器。腎臓は心臓よりも大切と考えられていたのだとか。
ところが日本では、「腎」という文字が長らく常用漢字に入っていなかったため、新聞や教科書などでは広く「心」のほうが使われてきた経緯があります。
2010年の改定により、ようやく常用漢字に加えられたのですが、時すでに遅し。すでに「心」にその座を奪われていたため、いまさら「腎」を使ってくれるメディアはほとんどありません。
健診でも腎臓は目立たない存在です。肝臓のほうは、γ─GTPや肝炎ウイルスの抗体検査など、だれでも知っている項目が用意されています。心臓は心電図を取ってもらえます。
医療用語基礎知識