医療用語基礎知識

【聴力検査】50歳頃から高音が、次第に低音が聞こえなくなる

「青春18きっぷ」をご存じでしょうか。JRの普通列車が終日乗り放題。春、夏、冬に使えて、今年の春は3月1日から4月10日までが有効期間です。「青春」と銘打っていますが、利用者の大半が中高年であるところが、いまの高齢者の健康ぶりをよく反映しています。

 シーズン中は、行楽地に向かう朝の列車に、元気なご老人が大勢乗ってきます。その話し声や笑い声が若者たちと比べて一段と大きいため、車内が一気ににぎやかになります。いまやシーズン中の風物詩のひとつ、といったところでしょう。

 高齢者が大きな声で話すのには、それなりの理由があります。耳が聞こえにくくなっているのです。

 耳は、加齢とともに聞こえにくくなるもの。個人差はありますが、誰もが避けては通れない宿命です。日常会話に支障をきたすようになると、「老人性難聴」という立派な病名がつきますが、それより手前は、単に「耳が遠くなった」と言われておしまい。病名がついても、補聴器は健康保険の適用外。自腹で買うしかありません。

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。