医療用語基礎知識

【腫瘍マーカー】血液サンプルだけでがんが分かる

 しかし実際には、AFPは肝臓の正常細胞でも作られています。それどころか、他の臓器でも作られているため、基準値を超えたからといって、直ちに肝臓がんと断定することはできないのです。また、仮に肝臓がんだったとしても、かなり進行しないと数値が上がらないケースも少なくないといわれています。

 他のマーカーも似たり寄ったり。腫瘍マーカーでがんの早期発見は無理、というのが医者の間での共通認識。腫瘍マーカーの数値は、がん患者の治療効果を判定するうえで参考になりますが、とりわけ早期発見には、ほとんど役立たないというのが、医療の世界の常識となっています。

 ただし、前立腺がんのマーカーであるPSAは、早期でも上昇しやすいため、十分実用的とされています。職場健診にPSAを加えるよう勧めている会社が多いのは、そのような理由からです。

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。