医療用語基礎知識

【腫瘍マーカー】血液サンプルだけでがんが分かる

 ところが近年、PSA検査に疑問を投げかける論文が、アメリカなどで何件も発表されているのです。PSA値が高ければ、確定診断のための追加検査をすることになります。

 しかし、それによる健康被害が無視できないということです。生検(注射針などを使って、前立腺組織の一部を採取すること)によって、周辺の神経を傷つけられ、EDや排尿障害になる人が大勢いるようです。

 また前立腺がんはおとなしいがんで、進行が遅いといわれています。PSA検査で早期発見したばかりに、過剰な治療が行われ、かえって生活の質を落としてしまう人も少なくないようです。

 それらマイナス面を加味すると、PSA検査のメリットは、かなり減ってしまうというのです。
(医療ジャーナリスト・やなぎひさし)

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。