医療ドラマでは、出血多量の救急患者に対して、よくヘマトクリットの測定がオーダーされています。出血によって赤血球が失われれば、必ずヘマトクリットの値が下がるので、まず出血の有無が分かります。さらにその数字から、おおよその出血量も分かるからです。
ヘマトクリットは、貧血状態を判定するための重要な指標なのですが、まったく緊急性を伴わない定期健診でも測定するのは、なぜでしょうか。
もちろん、その値が高ければ、血が濃いわけですから、多血症。逆に値が低ければ、血が薄いのですから貧血ということが分かります。多血も貧血も赤血球数とヘモグロビン量のみでも診断できますが、ヘマトクリットを測定することによって、より確かになるのです。
しかしそれだけでなく、貧血の種類の特定にも役立っています。赤血球数、ヘモグロビン量とヘマトクリットの値をある公式に当てはめると、赤血球恒数という数字が算出されます。その値によって、再生不良性貧血や腎性貧血と呼ばれる、厄介な病気の可能性が示唆されるのです。
医療用語基礎知識