ところが昨年の春、そんな高血圧学会の横面をひっぱたくような発表が、日本人間ドック学会から飛び出してきたのです。健保組合連合会と共同で、人間ドック受診者のデータを解析し、「147/94未満なら正常」と結論づけたのでした。
「血圧の基準、緩和か」とマスコミが一斉に報じたので、高血圧学会としても黙っているわけにはいきません。ただちに声明を発表し、「高血圧の基準は世界的にも140/90だ」との主張を展開しています。それだけでは足りないとみて、人間ドック学会の147/94の数字に大きなバツ印を付け、「世界基準・140/90mmHg」と大書した患者向けパンフレットを、病院や診療所に大量に配布するなど、猛烈な反撃に出ています。
はたしてどちらの基準が妥当かは、難しいところです。双方ともそれなりに説得力のあるエビデンスをもとにしているため、専門家でも判断に迷うところです。
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