医療数字のカラクリ

医療数字の「平均」半分の人が治るのは・・・

「平均」は最もありふれた指標ですが、実際に利用するとなるとなかなか難しい指標です。

 例えば、「かぜは平均4日で治る」という情報があったとしましょう。

 多くの人は「平均というのはだいたい真ん中なんだから、かぜが平均4日で治るというのであれば、半分の人が4日で治るということではないか」と思うのではないでしょうか。

 しかしこれは間違いです。ある集団の平均が真ん中になるためには、平均を中心に高い方も低い方も左右対称に広がっている必要があります。ところが、風邪が治る期間は平均を中心に対称というわけではありません。「かぜの治る期間の平均が4日」だからといって、半分の人が4日間でかぜが治るわけではないのです。

 データの分布、ばらつきが左右対称でなければ、そのバラつきの形によって、平均の意味が変わってしまいます。つまり、平均値だけでは自分が全体のどのあたりに入るかを推測することは困難なのです。逆に言えば、データ全体のばらつきがわからないことには、平均の意味もよくわからないのです。

1 / 2 ページ

名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。