医療数字のカラクリ

日本人の「不健康寿命」は伸びている

 糖尿病についての数字のカラクリが一段落しました。今回からは寿命についての数字を見てみましょう。

 今年の7月30日に2014年の平均寿命の世界比較の結果が発表されました。日本人は女性86・83歳、男性80・50歳と、女性は世界1位、男性は3位という結果です。日本は世界有数の長寿国といってよいでしょう。しかし、「ただ単に長寿なだけではだめだ、健康長寿でなければ」という意見があります。確かにそうかもしれません。

 そこで、健康寿命についてのデータも見てみましょう。これは2010年のデータですが、女性で73・62歳、男性で70・42歳となっています。2001年の健康寿命がそれぞれ72・65歳、69・40歳ですから、平均寿命だけでなく健康寿命も延びていることがわかります。一安心というデータでしょうか。

 しかしこのデータを平均寿命と健康寿命の差、つまり「健康を害して生きている期間」で見てみると意外な面が見えてきます。2001年では、その差は女性で12・28歳、男性で8・67歳で、2010年は12・68歳、9・13歳とむしろ増加しています。これは、健康を害して長生きする部分も長くなっていることを示しています。つまり健康寿命が延びると同時に、不健康な寿命も延びているのです。

 健康寿命だけが延びれば問題ありません。しかし、そう簡単ではないようです。難しいものです。

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。