医療数字のカラクリ

運動や食事よりもやりがいのある治療法がある

 糖尿病の合併症予防のためには、血糖以上に血圧やコレステロールの治療が重要であると書きましたが、もうひとつとても重要な問題があります。それは喫煙です。

 たばこを吸う糖尿病患者さんがたばこをやめると、血圧やコレステロールの治療とほぼ同等の合併症予防効果が得られることが示されています。

 上の血圧(収縮期血圧)を10mmHg下げたり、コレステロールを下げるスタチンという薬を飲むことで、100の心筋梗塞や脳卒中のリスクが80にまで少なくなることが示されています。禁煙による効果もそれとほぼ同じなのです。

 それでは、禁煙の効果を血糖治療の効果と比較してみましょう。これまでの研究結果からすれば、HbA1cを1%下げることによる心筋梗塞や脳卒中の予防効果は、大きく見積もっても100の合併症発症リスクを90に減らす程度にすぎません。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。