糖尿病の合併症予防のためには、血糖以上に血圧やコレステロールの治療が重要であると書きましたが、もうひとつとても重要な問題があります。それは喫煙です。
たばこを吸う糖尿病患者さんがたばこをやめると、血圧やコレステロールの治療とほぼ同等の合併症予防効果が得られることが示されています。
上の血圧(収縮期血圧)を10mmHg下げたり、コレステロールを下げるスタチンという薬を飲むことで、100の心筋梗塞や脳卒中のリスクが80にまで少なくなることが示されています。禁煙による効果もそれとほぼ同じなのです。
それでは、禁煙の効果を血糖治療の効果と比較してみましょう。これまでの研究結果からすれば、HbA1cを1%下げることによる心筋梗塞や脳卒中の予防効果は、大きく見積もっても100の合併症発症リスクを90に減らす程度にすぎません。
医療数字のカラクリ