薬のことばかり取り上げてきましたが、糖尿病の治療はまず食事・運動です。すべての糖尿病患者に食事・運動療法が勧められます。薬の治療は一部にすぎず、薬で治るわけではありません。今回は糖尿病の食事・運動療法についての意外な研究結果をお示ししましょう。
この研究は肥満のある糖尿病患者を対象として、週1回の個別のプログラムによる集中的な食事・運動療法を行うグループと、年3回のグループを比較して、心筋梗塞や脳卒中の発症率を比べています。その結果は意外なものでした。
集中的な支援をするグループとそうでないグループで、それぞれの合併症の発症率は年率1・83%と1・92%と、両群でほとんど同じという結果です。研究開始直後には、集中的な治療を行うグループの方が、体重が減り、HbA1cの値も大きく改善します。しかし、その差は徐々に縮まり、5年、10年の単位ではほとんど同じとなり、合併症の発症率もどちらも年率2%弱なのです。
医療数字のカラクリ