医療数字のカラクリ

血糖より血圧とコレステロールの低下が大切

 糖尿病の治療の中で一番重要なのは、「血糖」だと思われているかもしれません。しかし、実際の治療効果を見てみると意外な事実がわかります。

 血糖を下げて心筋梗塞や脳卒中が予防できるというデータはなかなか見つかりませんが、糖尿病患者が血圧やコレステロールを下げると、心筋梗塞や脳卒中が予防できるという研究結果はたくさんあるのです。

 例えば糖尿病患者で、HbA1cを8%から7%に改善する治療と、上の血圧を10㎜Hg下げる治療では、どちらが心筋梗塞や脳卒中の予防効果が大きいと思われますか?

 これを、UKPDS33(英国前向き糖尿病研究33)とUKPDS38(同38)という同じグループが行った研究を比較することで、検討してみましょう。

 UKPDS33では、HbA1cを1%改善させることで、年率4・6%の糖尿病合併症が4・1%に減るという結果ですが、それに対して高血圧を合併した糖尿病患者を対象としたUKPDS38では、収縮期血圧約10㎜Hgの減少で、6・7%の糖尿病合併症を5・1%に減らしたという結果です。高血圧治療の方で合併症予防効果が高いのです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。