医療数字のカラクリ

DPP4阻害薬は安全と言えるのか?

 現在、最も処方されている糖尿病治療薬のDPP4阻害薬ですが、心筋梗塞や脳卒中を予防するというデータはありません。プラセボ(偽薬)と同等という結果があるだけです。さらに、この薬では驚くべき結果が示されています。

 心不全による入院は、DPP4阻害薬群で3・5%、プラセボ群で2・8%と、DPP4阻害薬を飲んだ群で増加しているのです。

 相対危険は1・27と、心不全を27%増やすという結果です。だから、心血管疾患を増やすことなく安全というのも、実はウソなわけです。

 また、入院が必要になる重度の低血糖は、DPP4阻害薬群で0・6%、プラセボ群で0・5%と、薬を飲んだほうが多いと報告されています。DPP4阻害薬は低血糖を起こしにくい薬として宣伝されていますが、従来の治療に追加した場合には、他の薬と同様、低血糖のリスクを増加させていたのです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。