医療数字のカラクリ

遺産効果の実態 80歳までは変わらない

 前回はUKPDS80(英国前向き糖尿病研究80)という論文の結果を紹介しました。新規の糖尿病患者では、最初15年の厳しい治療がその後も“遺産効果”として継続し、25年後に寿命の差として表れてきたという内容です。今回は、そこで示された死亡に対する遺産効果について詳しく見てみましょう。

 25年後の研究終了時の死亡率で見てみると、当初15年、インスリンとスルフォニル尿素で厳しい治療をしたHbA1c7%のグループでは約60%が死亡、それに対しHbA1c8%の緩い治療のグループでは、約70%が死亡という結果です。

 この数字からすると、HbA1c7%を目指す厳しい治療の寿命延長効果は明らかなように思われます。

 しかし、この差を論文のグラフで見てみると違った側面が見えてきます。両群のグラフを見ると、最初の20年まではほとんど重なっています。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。