医療数字のカラクリ

メタ分析が語る薬による血糖抑制のホントの効果

 これまで多くの研究結果を示してきましたが、これらの研究はメタ分析という方法で一つにまとめられています。薬による集中的な血糖コントロールの効果についても、2011年に網羅的なメタ分析が、イギリス医師会雑誌に発表されています。

 その論文の結論を見てみましょう。そこには「寿命や心筋梗塞、脳卒中予防に対して、集中的な血糖コントロールの効果は限られたものでしかない。寿命に対しては、9%減少の可能性があるが、19%の増加を否定できない。心筋梗塞、脳卒中による死亡に対しては、14%減少の可能性を残すが、43%の増加の危険を否定できない」とあります。

 これは大変なことです。糖尿病患者の寿命は血糖の治療によってもほとんど変わらないこと、死につながるような心筋梗塞、脳卒中が予防できないことが、多くの研究のまとめで示されているのです。

 それ以外の結果を見てみると、死につながらないような心筋梗塞が少なく見積もって4%、多く見積もれば26%予防できるという結果も示されていますが、その一方で網膜症、腎症についても明確な効果は示されていません。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。