医療数字のカラクリ

安くて効果が優れている薬が普及しないワケ

 先月初めに薬品メーカーから多額の講演料をもらっている医師のリストが公表されました。2013年度のデータでは、1000万円を超える額を受け取っていた医師は184人で、最高額は4700万円だったとのことです。3000万円を超える医師は6人、その上位4人が糖尿病の専門医でした。

 講演会の内容はさまざまですが、多くは発売直後の新しい薬に関わるものです。この連載で繰り返し強調してきた「糖尿病の第1選択薬はメトホルミンです」というような内容の講演ではなく、講演会を主催する薬品メーカーの新薬をどう使うかといったような内容が中心なのでしょう。

「なのでしょう」などという書き方をしたのは、私自身はこうした講演会に出たことがなく、本当のところどんな内容で行われているのかはわからず、推測で言っているからです。おそらく、それほど外れてはいないでしょう。こうした講演会やMR(薬品メーカーの情報提供担当者)からの情報で日頃の処方を決めているような多くの医者が、こうした偏った情報に影響され、メトホルミンでなく新薬を処方してしまうわけです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。