これまでお話ししたように、糖尿病治療による寿命の延長ははっきりとは示されていません。このことは1~2カ月の血糖値の平均値を表すHbA1cと死亡の関係を検討した研究を見ても明らかです。
3万人近い糖尿病患者さんの治療中のHbA1cの平均値と死亡の関係を調べた研究があります。結果は驚くべきものでした。
HbA1cは6・5%以上だと糖尿病と判定される指標で、本来なら6・5%未満の人の寿命が一番長くなるはずです。ところが、結果を大ざっぱに言えば、HbA1c7~8%くらいの人が最も長生きで、6・5%未満の人が短命でした。
この傾向はインスリンで治療をしている糖尿病患者さんに顕著で、HbA1c6・5%と正常な人と、10・5%ととんでもなく高い人の死亡率がほぼ同じだったのです。
また飲み薬で治療をしている患者さんでも、6・5%の人と9・5%の人の死亡率がほぼ同じでした。
医療数字のカラクリ