医療数字のカラクリ

薬による糖尿病治療 長寿は証明されず

 糖尿病患者は健康な人と比べて平均10年程度、寿命が短いといわれています。そこで、なんとか血糖を正常に近づけ、寿命も健康な人に近づけようと、食事や運動に気をつけて、薬で血糖を下げて、と頑張るわけです。

 しかし、糖尿病治療の寿命に対する効果を検討した研究によって示された結果は、意外なものばかりです。

 最初に示されたのは、以前取り上げたスルフォニル尿素という血糖を下げる薬やインスリンによって、心臓や脳の疾患をむしろ増加させたという1970年のUGDP研究です。死亡についても同様で、薬を使って血糖を下げたグループの方が寿命も短くなっています。8年後の死亡率で見てみると、プラセボ(偽薬)を使ったグループでは11・4%だったのに対し、トルブタミドという血糖を下げる薬を使ったグループでは19・8%で、インスリンを使ったグループですら、11・7%とプラセボグループとほとんど変わらないという結果でした。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。