医療数字のカラクリ

薬の追加は逆効果 死亡率が跳ね上がった

 ただし、この解釈には難しい点があります。後からメトグルコを追加した対象者は年齢が高かったり、肥満度の程度が軽かったりしています。その点、メトグルコ治療のみの対象者グループと異なっています。ですから、高齢者や肥満がない人でのメトグルコの効果は小さいといえるかもしれないのです。

 とはいえ、それもまた仮説の域を出ず、結論を出すためにはまだ次の研究が必要な状況です。

 少なくとも、高齢でなく、肥満のある糖尿病患者に対して、メトグルコは真っ先に使うべき薬で、スルフォニル尿素のような別の薬を先に使って、後から追加することは勧められません。ここでもメトグルコを第1選択にすべきであるという結果なのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。