医療数字のカラクリ

「薬で糖尿病の合併症が減る」の根拠

 これまでは血糖を集中的に下げる治療の効果を取り上げてきました。今回からは、具体的な糖尿病の治療薬についてお話ししましょう。

 最初にメトホルミン(商品名メトグルコ)です。この薬はビグアナイド系と呼ばれるグループに属します。血糖を下げるホルモンであるインスリンの効きをよくする働きがあります。

 ところが、乳酸アシドーシスという死につながる副作用の危険のため、日本ではほとんど使われてきませんでした。

 その状況を見直すきっかけになったのは、UKPDS33(英国前向き糖尿病研究33)という研究です。メトホルミンを使うと糖尿病が原因で発症する合併症全体が減少するとわかったからです。

 これは、前回まで取り上げてきた集中的な血糖コントロールを行うグループのうち、肥満のある糖尿病患者を対象として行われた研究から判明しました。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。