医療数字のカラクリ

厳格コントロールだと低血糖が増える

糖尿病患者さんの入院のうち、血糖が上がり過ぎることによる入院と、下がり過ぎることによる入院では、どちらが多いと思いますか。あるいは、血糖の上がり過ぎと下がり過ぎでは、どちらが緊急を要する事態でしょうか。

 糖尿病は血糖が上がり過ぎる病気ですから、高血糖の入院の方が多く、対処もそちらの方が急を要すると思われるかもしれません。

 しかし、実際はその逆です。高血糖による入院より、低血糖による入院の方がはるかに多いのが現実です。しかも、緊急な対処が必
要なのも低血糖の方なのです。

 低血糖の症状には、動悸、冷や汗、ボーッとする、強い空腹感、悪夢などがあります。低血糖はブドウ糖の補給を行わないと危険な急を要する状態です。高血糖だけでなく、低血糖にも十分注意を払うことが重要です。

 UKPDS33(英国前向き糖尿病研究33)において、死亡例は、高血糖では血糖コントロールが緩い治療群1138人のうち1人、低血糖では厳しい治療群2729人中1人に認められたにすぎません。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。