医療数字のカラクリ

厳格コントロールだと低血糖が増える

 しかし、重症の低血糖については、緩い治療群では8人(0・7%)に対し、厳しい治療をした群のうち、飲み薬を使ったグループでは1・0~1・4%、インスリンを使ったグループでは1・8%でした。つまり、厳しい治療グループの方が多いという結果です。すべての低血糖で
見てみると、緩い治療群で10%に対し、飲み薬を使用した群で16~21%、インスリン使用群では28%にも上りました。

 さらに低血糖時には、脈拍数が上昇するなど心臓に対する影響もあり、心筋梗塞などの合併症が増えることが最近指摘されています。UKPDS33で血糖コントロールをしても、心臓合併症が減らなかった背景には、低血糖が多かったことも関連しているのかもしれません。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。