医療数字のカラクリ

薬を減らし体重を増やさない方がマシ!?

 一般的にUKPDS33(「英国前向き糖尿病研究33」)は、厳しい血糖治療によって合併症の予防ができることを証明した研究という位置づけです。

 しかし、実際に行われた治療の詳細や、合併症予防についての個別の数字を見ていくと、それは一面的な理解に過ぎないのではないかというのが、この研究結果に対する別の解釈です。

 当初この研究は、血糖を正常値に近づけるような厳しい治療によって糖尿病合併症を100から60にまで減らすことを期待して始められました。

 しかし、研究が進むにつれて、100の合併症がせいぜい90か80に減るくらいの効果しか期待できないことがわかってきました。そして、結果的には100の合併症が88に減ったところで研究が終了になったのです。

 なぜ予想と違った結果になったのでしょうか。

 さまざまな理由が考えられますが、そのひとつの説明として、厳しい治療をしたグループでの体重増加があります。薬の治療は、インスリンにしろ、飲み薬にしろ、体重を増やす方向に働きます。実際に、緩い治療をしたグループに比べて、厳しい治療をしたグループで体重増加分が3キロ多かったという結果です。特にインスリン治療をしたグループでその傾向は顕著で、研究開始当初から4キロの増加を認めています。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。