医療数字のカラクリ

治療は最小限の薬にとどめ空腹時血糖に一喜一憂しない

 それに対して空腹時血糖270まで薬を使わないというのは、今の基準から考えればとんでもなくいい加減な治療ということになります。
 では、集中治療をしたグループでは具体的にどんな治療を行ったのでしょうか。12%が食事療法だけ、38%がインスリン治療、64%に飲み薬が使われました。

 一方、比較対象の緩い治療のグループでは、58%が食事療法のみ、16%にインスリン治療が行われ、35%に飲み薬の治療でした。

 これからもわかるように、血糖の正常化を目指す治療と、正常とは程遠い血糖をも許す治療とが比べられたわけです。その結果はどうだったのか。研究結果が示したのは、せいぜい100の合併症が88に減るくらいで、大きな差はなかったということなのです。

 つまりは、症状がなければ薬は使わず、食事療法だけにとどめる。血糖が正常に程遠くても、一喜一憂しない。

 これも研究結果のひとつの解釈ではないかと思っています。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。