医療数字のカラクリ

心筋梗塞や脳卒中の予防効果は不明のまま

 前回に続き、UKPDS33(「英国前向き糖尿病研究33」)で評価された糖尿病の合併症について詳しく見てみます。

 この研究で設定された糖尿病合併症は、突然死、高血糖低血糖による死亡、心筋梗塞、狭心症、心不全、脳卒中という太い血管が詰まって起きる合併症と、腎不全、足の指の切断、重症の出血、光凝固療法が必要な網膜症、片目の失明という細い血管が原因で起こる合併症が併せて評価されています。目については手術が必要な白内障も含んでいます。

 それまでの研究では、血糖コントロールを厳格にすると太い血管の合併症がむしろ増えたという結果になり、その後の熊本研究で、細い血管の合併症に対する予防効果が示されました。そこで、UKPDS研究ではどうかが注目されたのです。

 細い血管の合併症に関しては熊本研究と同様に、腎不全が100から73に減り、網膜の光凝固療法を受けた患者が100から71に減っています。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。