耳鼻科の病気

補聴器を使う耳鳴り治療

 脳にはいろいろな電気信号が飛び交いひしめき合っています。脳の感度が上がると、本来の音の信号ではない他の信号も音として感知してしまいます。脳の感度が上がるのは一時的です。ところが、脳が興奮状態だと感度を上げ続けて間違った信号をがんがん拾ってしまい、本人は耳鳴りと感じてしまうのです。

 これを応用した治療法が補聴器やサウンドジェネレーターによる音響療法です。これらを使って音を増幅することで、脳にしっかりと電気信号を伝えます。そのことで、脳の音に対する感度を下げ、脳が信号を間違えて感知することを防ぎ、耳鳴りが改善するというわけです。慶応義塾大学の新田清一先生が提唱している理論です。

 これらの理論を使った耳鳴り治療がTRT(耳鳴り再訓練療法)で、当院でも行っています。90年代から英・米を中心にスタートした治療法です。

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大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。