耳鼻科の病気

補聴器選びを医師に相談するメリット

 難聴で受診された方で、よく聞こえる耳なのに高額な補聴器をつけている方に出会うことがあります。経験の浅い店員さんしかいない補聴器取扱店で補聴器を買うと、このように聴力に問題のない耳に補聴器をつけてしまうなんてことも、しばしば起きるようです。

 つまり、補聴器は買い手の側が気をつけないと、大変な目に遭うかもしれない高額な買い物なのです。

 そこで初めて補聴器購入を考える方のために、補聴器の特許を持つ日本耳鼻咽喉科学会認定の補聴器相談医として、望ましい補聴器の探し方をご紹介しましょう。

 自分に一番合った補聴器を見つけるには、いろいろな種類を何度も試して、地道に近づいていく以外の方法はありません。大事なこと
は自分が納得するか否かです。

 よく「補聴器を2つ以上買えば安くなる」とか「ひとつオマケします」といった売り方をしている店もありますが、おかしいと思います。

 耳の構造は、右耳と左耳がつながっているわけではありませんから、右と左で性能やメーカーが違う補聴器を使用して問題はありません。あくまでもその人の耳にぴったり合った補聴器を、じっくり時間をかけて探すべきなのです。

 このとき気をつけたいのが、補聴器の電池交換の手間です。老眼の方には、補聴器の小さな電池の入れ替え作業はとても大変なことです。

 ちなみに医師が補聴器選びのお手伝いをすると、よいことがいくつもあります。

 例えば難聴の原因が単なる老化のせいなのか、それとも中耳炎などの耳の病気のせいなのか、きちんと診断した上で補聴器を選べます。

 外耳道は人によって形が随分違います。耳鼻咽喉科の専門医なら耳の奥まできれいに掃除して、耳の中のすべての状況を把握してから、その人の耳の形態に合った、最適な補聴器を処方することができます。

 患者さんの住む場所によっては、自治体が補聴器購入に補助金を出しているケースがあります。医師はそのことも、きちんと案内してくれるはずです。

大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。