耳鼻科の病気

鼻水を「かむ」「すする」リスク

 花粉症で鼻がグズグズして、鼻水が止まらない。そんなとき、鼻をやたらにかむ人がいますが、やり方に気をつけましょう。鼻をかむときは、必ず片方ずつかみます。両方一気にかむと、細菌やウイルスのいる鼻水を中耳に送り込み、中耳炎になってしまいます。

 かむときの力もほどほどにしなければなりません。鼻をかむときに起こるジェット気流が、耳と鼻との間にある耳管をびゅんと通り鼓膜の中の耳の組織を壊してしまうことがあるからです。ひどいとめまいや難聴が続き、入院での治療が必要になることがあります。

 正しい鼻のかみ方は以下の通りです。
①一方の鼻を押さえて、片方ずつゆっくり行う
②鼻水を押し出すために、しっかりと口から息を吸って準備
③かむ瞬間は口は閉じたまま、息をこらえる
④強くかみすぎない

 一方、よく見かける間違った鼻のかみ方は次の通りです。
×左右の鼻を同時にかむ
×力いっぱい強くかむ
×鼻の中に鼻水を残したままにする(残った鼻水の中で細菌やウイルスが増えて、気管支炎や肺炎につながることがあります)
×ティッシュペーパーを鼻に詰める(鼻血が出たり、傷から細菌が入ることがあります。鼻が詰まった状態でくしゃみをすると、中耳炎になる恐れがある)

 鼻水をすするのもよくありません。細菌やウイルスを含んだ鼻水が鼻の奥に入り込み、耳にまで達して中耳炎の原因になることがあります。これがひどくなると、鼓膜の奥に膿がたまり難聴を生じます。蓄膿症を発症することもあります。鼻をすするのがクセになると、鼓膜がへこんだ状態になり、なかなか元に戻らなくなって真珠性中耳炎になることも。鼻をすすると、すすらない人に比べて約10倍鼓膜がへこむとのことです。

大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。