花粉症の自覚症状は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどがありますが、深刻なのは鼻づまりでしょう。
長引くと、頭がボーッとしてきて集中力や思考力を低下させたり、よく眠れなくなったりして、日常生活の質もがくんと落ちてきます。
その改善法に鼻の日帰り手術があります。特に薬を飲むと眠くなって仕事にならない人や、運転中に眠たくなってはいけない人、授乳や妊娠のため薬の服用を出来るだけなくしたい人に適した治療法です。
手術はレーザーが普及しており、保険が適応されています。鼻の入り口から奥にある粘膜(下甲介粘膜)がアレルギー反応を起こすと、ぶよっと白くなり、透明な鼻水が出て、腫れてきます。これが鼻づまりの原因です。
この下甲介粘膜の表面をレーザーで炙って(医学的には蒸散して)、アレルギー反応を起こす部分を減らし鼻づまりを解消します。
ただし、一口にレーザーと言ってもいくつか種類があります。ガスレーザー、固体レーザー、半導体ダイオードレーザー、液体レーザーなどです。
花粉症を含めたアレルギー性鼻炎の手術には炭酸ガスレーザーがよく使われます。水に吸収されやすく、皮膚・軟組織の止血・凝固・切開が可能だからです。しかも、深いところまで焼くことはないので出血は少なく、鼻水を出す鼻の粘膜の表面のみを焼くことができます。
別のレーザーを使う先生もおられますが、耳鼻咽喉科領域では最も信頼性が高い。特にシーズン前の花粉症の治療としては理想的なレーザーといえます。
手術はまず問診と診察を行い、手術前の血液検査を行うことからスタートします。血液検査は、感染症などを調べるためです。
手術当日は、麻酔薬と血管収縮薬を含んだガーゼを鼻に入れて少し待ってもらいます。しっかりと鼻粘膜を麻酔すると、ほぼ無痛でレーザー治療を受けられます。麻酔が十分に効果をあらわすと上アゴの歯がしびれた感じがすることもありますが、1時間ほどで自然に消失するので心配はいりません。
その後、片鼻を数分ずつレーザーで焼きます。手術中は軽い刺激があり、術後の鼻血を心配する人もいますが、レーザーで鼻血を止める治療法があるぐらいなので、まず心配ありません。出血しても、鼻の上から圧迫すればすぐ止まります。
2、3日は治療の影響で鼻の粘膜がむくみ、かえって詰まりがひどくなりますが、その後、レーザーで焼いた鼻の粘膜にはかさぶたが付着します。取ってもまたできてしまうことがありますが、経過とともに付着しなくなり、数週間ほどで付かなくなります。付着したかさぶたは術後の外来できれいに掃除することで、鼻閉も改善します。
耳鼻科の病気