「起きて!!」「分かりますか――」
午後7時20分、埼玉県内の地域病院救急センター治療室で女性看護師の声が響きわたる。
30分ほど前に救急搬送されてきた70代の男性患者に必死で呼びかけているのだ。男性患者は治療中の肝硬変が急変。病院に運び込まれたときには、肝硬変の患者特有のどす黒い顔色に変わり、意識はもうろうとしていた。
この日の当直は循環器が専門の30代の男性医師2人と3人の看護師。医師のひとりが簡易検査した後にICU(集中治療室)に運び
込むよう指示。看護師2人が患者が横たわるストレッチャーをきしませながら移動させる。
それから15分。今度は診察室が騒がしい。家族に付き添われて訪れた急患に、診察した医師が切迫した声を上げる。
「心筋梗塞症で間違いありません。すぐにカテーテル手術をします」
どうなる! 日本の医療