どうなる! 日本の医療

勤務医が危ない

 午後8時すぎ、緊急手術のため救急治療室は一時的に緊急患者の搬入を中止した。

 その日は午後6時台から続々と急患が救急搬送されてきた。ボヤで煙を吸い込んだ患者、肝硬変患者、心筋梗塞の患者、高血圧患者。緊急手術後に再び患者の受け入れを再開、休む間もなく患者が送られてくる。

 午後11時半、遅めの夕飯で一息ついた当直医師に話を聞いた。

「年末年始などに比べるとここまでは、極めて急患は少ない方です。当直は夕方5時から午前9時まで。そのまま通常の診療・手術をこなし、入院している担当患者を巡回します。終わるのは明日の午後10時ぐらいです。その間の仮眠時間は2、3時間。今日は午前7時すぎに病院に入っていますので今回も40時間勤務になりそうです。食事は、手が空いた今ごろでコンビニ弁当。僕は早食いは得意で5分もあれば食べられます」

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。