Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【北斗晶さんのケース(1)】マンモが見落とす進行速いタイプが2割

セルフチェックとパートナーの触診が大事(C)日刊ゲンダイ

〈ホテルで裸になった自分の体を見たら、右の乳頭がセンターになく、引きつって見えた〉

 ところが、最初のケースでは、毎年検査を受けている「安心感から、圧迫の痛みとしか思えない」とがんを疑うことがなく、次のケースでは「直視しても異変がなく、触ってもシコリがなく、年齢のせい」と考えていたと振り返っています。

 今年の初夏のころ、「乳頭にチリチリした痛み」を感じたのがキッカケで、かかりつけの婦人科を受診。組織検査などで最終的に7月7日に告知を受けたのが乳がん発見までの経緯です。

 厚労省は04年、40歳以上にマンモグラフィーを勧める指針を出し、ほぼ100%の自治体に普及。乳がん撲滅のピンクリボン運動も相まって、マンモグラフィーの認知度も向上しています。しかし、マンモグラフィーが万能ではないことを、北斗さんのケースは示しているのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。