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激しい筋トレは動脈硬化を進める

 運動すると、活性酸素という細胞毒が生まれますが、体はこの毒を打ち消そうとして免疫力を高めます。これを「ホルミシス効果」と呼びます。運動とは、自ら少量の毒を作ることによって、健康効果をもたらすものなのです。しかし、長すぎたり激しすぎる運動は、かえって活性酸素を増やしてしまい、逆効果になってしまいます。

 近年、「激しすぎる筋トレは動脈硬化を進めてしまう」こともわかりました。数カ月の筋トレが14・3%も動脈スティフネス(動脈の硬さ)を増加させるのです。

 たとえば、重量挙げの選手は「ウンッ!」と息を止め、いきんでバーベルを持ち上げます。その際、血圧もグッと上がるのですが、軟らかい血管ではその上昇に耐えられません。血管がある程度硬くないともたないため、動脈硬化が進むのです。

 特殊な環境にあるアスリートと、われわれ一般人は状況が違いますが、筋トレによる動脈硬化を予防しておいた方がいいでしょう。筋トレをした後は、必ずウオーキングなどの有酸素運動で運動を終える工夫をすることが効果的だといわれています。

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江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。