アメリカ国立老化研究所は、一流科学誌「Cell」にアンチエイジング=レジリエンスを高めるために効果的な7つの方法を発表しています。その中から、今回は「カロリー・リストリクション(CR)」と「間欠的絶食(IF)」について解説しましょう。
CRは、一日の食事の総カロリーを、自由摂取時の摂取総カロリー量に対して70~50%に制限する方法です。これを毎日続けるのです。IFは、自由にカロリーを気にしないで食事を摂取する日と、水以外は一切取らないという状態を、24時間おきに交互に行う方法です。この2つの食事法を実践すれば、若々しく生きることができるのです。
人間は、加齢によって心臓肥大、心不全、心房細動(不整脈)といった心臓の老化現象を起こすようになってきます。CRを行うと、そうした心臓の老化を予防することができます。加齢に伴う心臓の筋肉の肥大が抑えられ、リポフスチンという老化物質が心筋にたまることを減らし、心筋の線維化が減少することがわかっているのです。
IFも同様で、心筋肥大が減り、心筋細胞の酸化ストレスが軽減します。また、マウスの虚血再灌流障害モデルで心筋梗塞の領域が減ることもわかっています。
CRとIFによってこうした効果が生まれるのは、サーチュインと呼ばれる長寿遺伝子が活性化し、ケトン体が増えることでオートファジーという細胞の浄化作用が起こるためです。
実は、経済発展率がそれほど高くなくても、イスラム教が普及している国では比較的平均寿命が長いことがわかっています。これは、イスラム教の「ラマダン」という絶食の習慣が、何らかの形で寿命に良い影響を与えていることを示唆していると考えられます。
ただし、IFは安全性の面で未確立な部分が多いため、まずは「腹七分目の食事」=「CR」を心がけてみることをおすすめします。
レジリエンス高め若々しく生きる