レジリエンス高め若々しく生きる

メトホルミンが細胞の寿命を延ばす

 さらに、メトホルミンにはがんを予防する効果があることも多くの研究で確認されています。糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べてがんになる確率が高いのですが、メトホルミンを飲んでいる糖尿病患者は、がんになる人が少ないのです。すでに血糖降下薬を服用していて、がんを予防したいという患者さんは、医師に相談してメトホルミンを使ってみるのもいいでしょう。

 健康な人が飲んでも低血糖を起こさないので、抗加齢医学会の中にはメトホルミンを服用している医師もいます。ただ、メトホルミンは医師による処方箋が必要な医薬品で、胃の不調や下痢といった副作用があり、妊婦、子供、腎臓疾患を抱えている人などは使用できません。自己判断で服用するのはやめましょう。

 今後、メトホルミンの研究がさらに進めば、糖尿病薬としてだけではなく、アンチエイジングに効果的な薬として応用されるかもしれません。

2 / 2 ページ

江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。