有名病院 この診療科のイチ押し治療

【口唇口蓋裂】東京医科大学病院 口唇口蓋裂センター(東京西新宿)

東京医科大学病院歯科口腔外科の近津大地主任教授(提供写真)

 受診窓口は小児科になり、常に全身の健康状態を管理する。最初に必ず直面する問題は哺乳の障害。上顎に裂け目があると、乳を吸うときに口の中の圧が鼻に抜けてしまい、必要な哺乳量が取れないからだ。

「生まれたらすぐ歯科口腔外科で歯型を取り、上顎の裂け目をふさぐ着脱式の哺乳床を作ります。これを装着すれば赤ちゃんが自分で乳を吸って飲むことができるようになります」

 そして、生後3カ月ごろになり体力がついてきたら、形成外科により全身麻酔下で唇の閉鎖が行われる。上顎を閉じるのは、しゃべり始める1歳半ごろ。また、口唇口蓋裂があると中耳炎を発症しやすくなるので難聴を防いだり、言語や発音の習得などに耳鼻咽喉科が関わる。

「当院での上顎を閉じる手術は、裂け目が軟口蓋(口の奥)から硬口蓋(口の前方部)に及ぶ大きい場合は、上顎の成長を阻害しないように2段階法を行っています。1回目の手術で軟口蓋を閉鎖し、5歳ごろに硬口蓋を閉鎖します。噛み合わせが関係する2回目の手術は口腔外科が担当します」

2 / 3 ページ