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【超微小外科手術】 東京大学附属病院形成外科・美容外科(東京・文京区)

東京大学附属病院形成外科の光嶋勲教授(提供写真)

「手術で使う針の太さは20分の1ミリで、糸はその半分。独自に開発した極小の器具を使って微小血管を吻合します。局所麻酔なので、患者さんも手術の様子をモニターで見ています。再接着した指に針を刺して血流の再開を確認すると、感激して泣きだす人もいます」

 自動車事故や工場での事故が減り、切断指の発生自体は少なくなっている。代わってスーパーマイクロサージャリーを使う治療で増えているのが、年間約200症例のリンパ浮腫。がん治療後の後遺症として表れることが多く、リンパ液の流れが滞って脚や腕が腫れ上がる病気だ。

「直径0・3ミリのリンパ管を直径0・8ミリの静脈につなげて、リンパ液が静脈に流れるようにバイパスを作るのです。患者さん1人に3時間くらいかけて、3~4人の医師が2~3本ずつ合計10本くらいつなぎます」

 リンパ管の状態にもよるが、治る確率は腕の浮腫で70%、脚の浮腫は30%くらい。成功率は上がってきているという。

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